インタビュー

これまでにインタビューさせていただい方々

第11回 渡辺 ゆり子 さん
人生のゴールは結婚だったのに!
やりたいんだから、やっちゃおう!
21世紀はゆとりのある女がカッコいい
空間フェチが創造の源に

人生のゴールは結婚だったのに!

久保
私はゆり子さんのことは『ユリユリ』と呼んでいるので、今日もそう呼ばせていただきますね。えーと、まず……ユリユリは食空間やウェディングのトータル・コーディネーターとして大活躍しているんですけど、この仕事を始めるきっかけは何だったの?
渡辺
私、小さい頃からお嫁さんになることを目標に生きてきて、学校を卒業するとすぐに結婚したのね。それが23歳のときに夫から「働きなさい。生きがいを持ちなさい」って言われちゃって仕事をすることになったの。
久保
突然? それで?
渡辺
困っちゃった。結婚が人生のゴールと思っていたから特別な勉強もしてこなかったし。でも、ある建築家の奥さんが「インテリアに合わせて食器を選んでくれる人がいたらいいのに」と言っているのを聞いたときに「それがいい! それにしよう」と思ったの。私自身も自分の家のインテリアを考えたり、飾ったりするのは大好きだったから。
久保
自分の好きなものから発想していったのね。でも勉強はどこでしたの?
渡辺
ちょうどその頃、留学中の夫と一緒にアメリカにいたので、まずは大学の図書館でアルバイトしながら写真集とか画集、デザイン集をながめて、それからデザインの学校に通いました。そこで先生から「センスがいい」と褒められて、自分でもびっくり。
久保
もとからあったセンスが、学校に通ううちに表に出てきたのね。
 


やりたいんだから、やっちゃおう

久保
でも、ユリユリはインテリアコーディネートだけじゃなく、フラワーアレンジメントもテーブルコーディネートもデザインも、全部自分でやっているじゃない。その仕事の“枝葉”はどうやって広げてきたの?
渡辺
最初はテーブルコーディネートだけをやって、お花は専門の人に任せようとしたのだけど、どうしても自分が思っていたようなアレンジに仕上がらないのね。それでがっかりしてしまって、お花も自分でやることにしたの。そうしたら間もなく「フラワーアレンジメントの本を出版しませんか?」と声がかかり、慌ててロンドンの短期集中コースで本格的にアレンジメントを学びました(笑)。いつもそうなのよ。インテリアコーディネートも声をかけてくださる方がいて、それから始めたことだし。自分から言い出したことではないの。
久保
「何かしたい」と思うと、向こうからチャンスがやってくるタイプね。
渡辺
私、ある方から言われた言葉で忘れられない一言があるんです。私が初めてインテリアコーディネートの仕事を引き受けたときに、「(未経験者に)頼むほうも頼むほうだが、受けるほうも受けるほうだ」とガツンと言われちゃった。でも、それを聞いて「確かにそうだ」と思った(笑)。だけど、面白そうだからやりたいし、私にとっては食もお花もインテリアも同じフィールドにあるものなんだもの! チャレンジしてみたいじゃない。能天気かも知れないけど、私、チャンスの前で尻ごみすることはないです。
久保
「やりませんか?」といわれてやったことが仕事としてできてしまうのがすごい。ユリユリって、仕事場にフワーッと天使のように降りて来て、地上に足が着くか着かないかのところで、楽しそうに素敵な仕事をしているように見えるのよ。その遊び心自体がユリユリのセンスなんだと思うなぁ。
 


21世紀はゆとりのある女がカッコいい

渡辺
でも、いろんなことをやってしまうと肩書きがわかりにくくなるから良くないのかな、と思うことはありますね。
久保
インテリアだけ、花だけ、テーブルコーディネートだけの専門家はたくさんいるけど、それをトータルに扱える人はほとんどいない。だからユリユリの存在は貴重だと思うわ。でも、気持ちは分かる。一つの肩書きにまとめにくい立場で仕事をすると、「どっちつかず」「何しているか分からない」といわれやすいわよね。私もそれは経験があります。だけど「実はその“すき間なところ”の感性が欲しい」と言う人も結構いるでしょう。だから大事なポジションだと思うのよ。
渡辺
私、ずっと無計画でやってきてしまったので、計画性がある人にも憧れてるの。20歳の頃から綿密に計画を立てて生きていたら、もっとすごい未来が待ってたんじゃないか……と、思ったりして(笑)。
久保
逆にきっちり計画を立てていたら、いまのように面白い仕事は入ってこなかったんじゃないかな。私、人って2種類いると思うんです。いつもいっぱいいっぱいにスケジュールを入れておく人と、ポーン、ポーンといくつか入れるだけで後は空けておく人と。前者は全身から「私は忙しいんですー!!」というオーラを出しているから、不意にやってくるチャンスを取り込む余裕はないと思うのね。でも、後者のゆるゆるのスケジュールで動いている人は、飛び込んできたチャンスを受け取る余裕がある。ユリユリも後者のタイプじゃない!? 21世紀はそんな女性が魅力的だと思うな。ユリユリの仕事にみんなが満足するのは、センスだけでなく人間性の魅力もあるんだと思いますよ。
渡辺
すごい。褒められちゃった(笑)。いまの言葉、家宝にします。
 


空間フェチが創造の源に

渡辺
でも、確かに私の仕事って、資格や学歴を持っているからできるという性格のものではないの。私のサイトによく若い女の子から「渡辺さんのような仕事に就くには、何の資格を取ったらいいですか? 私は○○コーディネーターの資格は取りました」と質問がくるんだけど、私はそんな資格持っていないし、資格偏重の考え方には疑問を感じます。
久保
「いくつか資格を積み重ねればユリユリになれる」というものでもないよね。「じゃあ、近道は?」と聞かれたら「無いよ」というしかない(笑)。だってユリユリはもともとインテリアや食にものすごく興味があって、世界のあちこちの一流ホテルを見て歩いたりしているじゃない。
渡辺
そう! 私、空間フェチなの。旅行に行って素敵なホテルに泊まって、その空間を満喫するのが本当に好きなの!
久保
どこへ行っても“空間フェチ”な目で見ているんでしょうね。それが知らぬ間に蓄積されてユリユリのセンスが生まれた。そういうあなただから、さまざまな面白い依頼が舞い込むのよ。それに性格的にも遊び心がある“巻き込まれ上手”だから、ますます活躍の場が広がる。協力者を集めたり、人を巻き込むのもうまいしね。
渡辺
そう……かな。確かに、この間、初めてアートのお仕事をしたときも、友達に助けてもらって無事に終えることができたわ。
久保
ほらね。私の周りにいる魅力的な人はみんな巻き込まれ上手で巻き込み上手なのよ。そういう素敵な生き方、私は大好きです! これからもご活躍を期待してますね、ユリユリ。
 


【編集後記へ】
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