インタビュー

これまでにインタビューさせていただい方々

第17回 中津 理恵
女性相手で国境がなくて90歳になってもカッコいい仕事
新しいアコヤ真珠の可能性
子を持って感じるありがたみ
宝石は最高のエコ商品


女性相手で国境がなくて90歳になってもカッコいい仕事

久保
のびのびと仕事をしていらっしゃる中津さんは、気持ちがいいオーラの方。いまは世界中の素敵なジュエリーを、セレクトショップのような形で販売するお仕事と、『イリスパイラ』という新しいアコヤ真珠ブランドのプロデュースをなさっています。でも、もともとはコンピューター会社で、OLをしてらしたんですって?
中津
ええ。新卒で入社しましたが、最初から3年働いてお金を貯めたら、アメリカで宝飾の勉強をしようと思っていました。会社としては迷惑な社員ですね(笑)。アメリカから戻った後も、独立資金を貯めるためにジュエリーメーカーで1年間、営業をしました。独立したのは29歳です。お金がなかったので、自転車操業でしたね。
久保
若い! ジュエリーのお仕事を目指されたのはどうしてだったんですか?
中津
公務員として働いていた母の姿が素敵だったので、10代の頃から自分も仕事は絶対に続けようと、思っていました。それで将来の職業を考えたときに、3つの要素が浮かんだんです。一つは女性相手の仕事、二つ目は世界中でできる仕事、三つ目は90歳になってもカッコよく働ける仕事。その条件を満たしていたのがジュエリーの仕事でした。
久保
すごい! しっかりしてる。そして現実的ですね。
中津
いえいえ、私は久保さんのような天才肌の方とは全然、違うんですよ。
 
 


新しいアコヤ真珠の可能性

久保
いつも撮影の時に貸していただいていて、私自身もプライベートで愛用しているのが、イリスパイラの真珠のジュエリー。このブランドとの関わりはいつから?
中津
ブランドの立ち上げ前からです。
久保
イリスパイラの真珠は、普通のアコヤ真珠とは違うんですって?
中津
そうなんです。通常の日本の真珠はアコヤ貝から採れますが、海洋汚染のせいか近年、アコヤ貝が大量に変死しておりまして、生産量も3分の1程度に減ってしまいました。そこでイリスパイラは、アコヤ貝の中でも特にウイルスに強い『ベニアコヤ』という新しい貝を使い、養殖工程や生産工程もすべて見直しました。普通のアコヤ真珠は製品化の過程で、見栄えをよくするために“調色”というお化粧を施します。でも、イリスパイラの真珠は母貝が違うので、無調色でも十分にきれいな天然物。それもいままでと違う点です。
久保
本当に天然の真珠なのね。やっぱり天然の輝きは違いますよ。私たちもそうやって大切に育まれた天然のジュエリーということを踏まえつつ、楽しんでつけこなしたいわ。
中津
ええ、オシャレなつけ方を久保さんにも教えていただきたい。たくさんの人たちに個性的に楽しんでいただけたらうれしいです。
 


子を持って感じるありがたみ

久保
そんななか、ご結婚もされて。お子さんもお生まれになったんですよね。
中津
ハイ。昨年3月に結婚して、子供はもうじき1歳になります。いい年ですので、できちゃった結婚ではないですよ(笑)。
久保
ダンナさんのご職業は?
中津
家族で魚屋を営んでおります。
久保
海つながりね(笑)。でもそんな小さいお子さんがいるようには見えないなぁ。
中津
主人の家族に楽をさせてもらっているんです。でも、子供がやってきたことはホントにびっくりしましたね。
久保
ますますお忙しいでしょうけど、やらざるを得ないから、日々追っかけ、追っかけ、やっているところ?
中津
日々、段取りの連続です。仕事と似ているところもありますね(笑)。
久保
育児と仕事を互いに挟み込んでいくような感じだから、かえって仕事をしている方がリズムができるでしょう?
中津
そう思えるようになったのは最近です。子供は日々、状態が変わっていきますから、ふと見ると昨日までは届かなかったところに手が届いていたり……。
久保
トイレの手洗いの水を飲んでたり(笑)。寝てるときは天使だけど、起きてると怪獣。でも家族の笑顔はやっぱり励みになりますよね。
中津
ホントに! うちの娘は1000グラムの未熟児で生まれてきたので、ホントに生きていてくれるだけで感謝。多分、私は仕事だけの生活で調子がいいと、感受性を忘れてしまったんじゃないかと思うんです。だから、感謝の気持ちを思い起こさせてくれた娘や家族には、ホントに感謝です。
久保
面と向かって夫に「ありがとう」と言えるかいうと、なかなか言えないけど……!?
中津
言えないですねぇ(笑)。でも心で「ありがとう」とつぶやいたりはしてます。
 


宝石は最高のエコ商品

久保
では、これからやっていきたいことや将来の展望をうかがっちゃおうかな。
中津
まずは世界中から声がかかるジュエリーのバイヤーになりたい。小さいカバン一つを持って「ハイ、うかがいます」と、飛んでいけるような。もう一つはイリスパイラの活動を通じて、日本の真珠産業を活性化していきたいです。いまはまだイリスパイラ自体で財と成さないといけない時期ですが、いずれはほかの養殖場にも貝や製造方法をお分けして、衰退の一途をたどる日本の真珠産業が再び盛り上げていきたい。いずれは海の活動をNPO法人か何かでやっていきたいですね。
久保
素晴らしい! 中津さんの新しい真珠に賭ける熱い思いにグッときちゃう! でも、誰もやっていないことを進めていくのって大変でしょう?
中津
私、大変さをあまり感じないタイプらしくて、まっしぐら過ぎて気がつかないんですよ。でも、イリスパイラの天然の真珠の良さを「いい」と言ってくださるこだわり派の方は、それこそ世界中にいらっしゃると思うんです。だから心配はしていません。
久保
我が子のように真珠を育ててきた生産者さんと中津さんの関係があるからできる活動よね。そういう仕事のやり方がこれからますます広まるといいな。
中津
それに、宝石ってホントにエコ商品なんですよ。真珠でもダイヤモンドでも「古くなったから捨てよう」ってことはないでしょう。リフォームして使ったり、娘や孫に譲ったり、いつまでも使い続けるものだと思うんです。
久保
天然の宝石には自然のエネルギーがそのまま閉じ込められていますものね。でも真珠やダイヤモンドは、長い時間をかけて“相思相愛”にならないと似合わない。じっくりつきあってフィット感を高めていかないと。だから、大事に大事に育てつつ……。
中津
自分も育ち、育てられ。
久保
ますます宝石が似合う女性になっていきましょう。
 


【編集後記へ】
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