インタビュー

これまでにインタビューさせていただい方々

第12回 五明 祐子 さん
中途半端だったです! 私
プロは企てるもの
モデル流・転換期の乗り越え方
力まずに流れ続けます

中途半端だったです! 私

久保
五明ちゃんはモデルを始めて何年目?
五明
18歳からだから……14年? 小さい頃から雑誌や洋服が好きだったし、背が大きいこともコンプレックスだったから、中学時代からモデルになりたいと思ってたの。でも事務所に所属してからもしばらくは売れなくてね。まったく自分には合わないテイストのお仕事をしてました。
久保
それが『non-no』モデルになって売れっ子になり、テレビのCMにもすごくたくさん出るようになったじゃない。
五明
CMは突然、決まりだした年があるんですよ。2000年かな? それまではオーディションも落ちてばかりだったのに。
久保
何が変わったの?
五明
「自分でキャラクターを決めていかないとダメだ」って気づいたの。CMのオーディションって、役者系の人を呼ぶ場合と、モデルを呼ぶ場合の2パターンあるんだけど、先方が“きれいな女の人”を求めているときには、私、受からないんですよ。
久保
いわゆる“きれいな人”の枠からはみ出るほどの個性があるけど、役者では物足りない……つまり、中途半端!?
五明
そう! 中途半端なの。モデルが起用される「きれいな人がスーツを着ている」というような設定には、どうも私は当てはまらなかったのね。それに気がついて「プラスアルファで、面白い演技ができるようにしよう」と思いだしたら、途端にCMがバンバン決まるようになったの。
久保
自分で引き出しを増やしたのね。
五明
そう。オーディションの前に監督さんと話をして、求められている人物像を自分なりに掘り下げるようにしたんです。いま思えば、あれが転換期でした。
 


プロは企てるもの

五明
でも「雑誌や紙媒体の仕事が好き」というスタンスはいまも変わらないんですよ。
久保
雑誌の仕事は一瞬を切り取られるから、おちおちしていられないけど、そこが面白くもあるのよね。ライティングにカメラマンとの息の合わせ方、編集者の意図していること、すべて理解した上で、計算しつくしてポーズをとる。あの緊張感はファッション誌の独特のもので、気持ちいいのよね。
五明
やめられないですよね! 集合写真のときもモデル1人、1人が職人だから、ぴたっと全員のポーズが合う。あの瞬間はすごい。
久保
そうそう! だけど、どんな状況も要求も汲み取れるプロになりすぎると、逆に面白くなくなるときもあるわね。
五明
ポーズがパターン化しちゃってね。
久保
さっき、私にカメラを向けられて、照れて困った表情をしているあなたを見ていて思ったんだけど、プロとして息が長い人ほど次々に新しい部分が出てくるのね。「五明ちゃんらしいね」といわれる部分をある時、ひっこめて、常に新鮮な何かを注入してる。いつも“初心者”の部分があるの。
五明
それは大事だと思ってます。緊張感とか、恥ずかしいと思う気持ちを忘れてはダメ。
久保
そのぐらい真剣勝負よね。ずっと第一線でいられるモデルは、いつもどこかに「いままでのイメージを覆そう」と企ててる部分があると思います。五明ちゃんも企ててる?
五明
うん、企ててる(笑)。
 


モデル流・転換期の乗り越え方

五明
でも、私、non-noのモデルをやめた後、どの雑誌もしっくりこなくて宙ぶらりんだった時期があるんです。
久保
この雑誌は年齢的に下過ぎるし、こっちだとお姉さん過ぎるとか?
五明
そう。キャラに合うものがなくて。
久保
中途半端な時期ってあるね。ただ、その問題は年齢が上になってくると、もっとツライんです(笑)。
五明
久保さんにもありました?
久保
あった! 私は『LEE』をやらせていただいて、すごく幸せだった時期が長く続いたのだけど、ある時、隣に並ぶモデルさんと私の肌の質感が違う、と思ったの。
五明
露出の量が減ってきたんですね。誌面から知らぬ間に消えていくという……。
久保
そう。かなり焦ったし、悩みました。でも、そのうち「ファッションページじゃないけれど、暮らし方のテーマに登場して発言してみませんか」とか「バッグのデザインをしてみませんか」と、新しい仕事が持ち込まれるようになったのね。それで「面白そうだからやってみよう」と誘いに乗って、だんだん、いまの仕事につながっていったのよ。
五明
そこでファッションの仕事にこだわっていたら、フェイドアウトしてたかも!?
久保
うん、してたかも。
五明
来た波に乗ってみるということは大切ですよね。「何だろう、いいのかなこれで」と思いながらも面白そうなら飛びついてみる。私の場合はそれがCMだったのかも。
 
 


力まずに流れ続けます

久保
いまは何か乗りたい波はある?
五明
ない(笑)。
久保
20年後はどうなっていたい?
五明
どうなっていくんでしょう(笑)? 働いているとは思いますけどね。バタバタしているんじゃないかな。落ち着かずに忙しく。
久保
ただ、何も無いのは嫌でしょう。大それた野望はないけれど、近い未来のために「いま、これをやろう!」という目標は常にある……と、言うか。例えば、いま五明ちゃんが習っているバレエの発表会のために、練習を頑張るとか、ね。
五明
意識していないけどそれはあるかな。
久保
「絶対これだッ! これになる」って、力むわではないんだろうけど。
五明
うん、力みはないね。ただ、とにかく流れていなきゃいけない、とは思っているんです。例えば、主婦として買い物に行くときも、同じスーパーばかりではなく、いろんなスーパーに行きたいんです。毎日、いろんな景色を見て、自分に刺激を与えたいから。
久保
その刺激が、見ている人に夢を感じさせるモデルの“浮遊感”につながるんだと思う。地に足がついた知性と軽さ、その両方が備わっていないといけないのよ。モデルは。
五明
……。私、このままモデルやってていいですか? 大丈夫そうですか?
久保
大丈夫です。五明ちゃんは! 素質はあります……なんてね(笑)。五明ちゃんがCMで演じていた占い師の役、今日は私がやらせていただきました。
五明
良かった。お告げをいただきました(笑)。京子さんに言われると安心します。私が「こうなりたい」と思う人だから。
 


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